「自己資金要件は撤廃された」は事実です。ただし「自己資金ゼロでも同じように借りられる」は誤解です。審査実務の現実と、不足を補う現実的な方法を解説します。
かつての新創業融資制度には「創業資金総額の10分の1以上の自己資金」という要件がありましたが、現行の「新規開業資金」への一本化でこの形式要件は撤廃されました。申込の入口は確かに広がっています。
しかし審査の実態は別です。自己資金は「計画を実行する力」と「返済に耐える体力」の証拠として、いまも審査の中心にあります。自己資金ゼロの申込は「準備せずに来た人」と読まれるリスクが高い——これが現場の現実です。
開業する事業での勤務経験・実績は、自己資金の不足をもっとも強く補います。同業で5年働き、顧客を持ち、収支の肌感覚がある人は、「経験」という無形の資本を持っていると評価されます。職務経歴と実績の数字(担当売上・顧客数など)を計画書に具体的に書き込んでください。
通帳の残高だけが自己資金ではありません。退職金の見込み額、解約返戻金のある保険、有価証券、また開業準備ですでに支払った費用(設備の購入費など、領収書で証明できるもの)は自己資金相当として評価され得ます。「何が資産としてカウントできるか」を棚卸ししましょう。
親族からの援助は、贈与なのか借入なのかを明確にすることが条件です。贈与なら「返済義務がない」ことを示し、借入なら返済条件を含めて資金計画に組み込みます。直前に振り込まれた出所不明のお金は「見せ金」と疑われ、むしろマイナスです。
自己資金なしの創業融資は、補強材料の設計次第で可能性があります。ソバヅメの支援先でも、売上実績0円の段階から計画の作り込みで1,500万円を調達した実例があります(自己資金・経験など個別条件によります)。審査で見られるポイントの全体像は創業融資の審査5ポイントをご覧ください。
自己資金の棚卸しから補強材料の設計、事業計画書づくりまで。現実的な調達ラインを一緒に見立てます。