融資・資金調達

資金繰り表とは?
個人事業主向けの作り方5ステップ

「利益は出ているのに、お金がない」——その謎を解くのが資金繰り表です。個人事業主が最低限押さえるべき作り方と、月次での回し方を解説します。

資金繰り表とは——損益計算書との違い

資金繰り表は、現金がいつ・いくら入り、いつ・いくら出ていくかを月ごとに並べた表です。混同されがちな損益計算書(P/L)との違いはタイミングにあります。

損益計算書資金繰り表
見るもの儲かったか(売上−費用)現金が足りるか
計上タイミング取引が発生した月実際にお金が動いた月
例:9月納品・10月末入金9月の売上10月の入金

9月に100万円を売り上げても、入金が10月末なら、9月の家賃や仕入れは手元の現金で払うしかありません。このズレが積み重なると、帳簿上は黒字なのに支払いができない——いわゆる黒字倒産が起きます。

040801201604月5月6月7月8月9月4月 累計利益 20万円5月 累計利益 40万円6月 累計利益 60万円7月 累計利益 80万円8月 累計利益 100万円9月 累計利益 120万円累計利益 120万円4月 現金残高 150万円5月 現金残高 120万円6月 現金残高 90万円7月 現金残高 70万円8月 現金残高 45万円9月 現金残高 25万円現金残高 25万円帳簿は黒字でも、現金は減り続けている(万円)
図:計算例——毎月黒字(累計利益は増加)なのに、入金サイトのズレと返済で現金残高は減り続ける。これが「黒字倒産」の入口

作り方5ステップ

STEP1:項目の骨組みを作る

縦に項目、横に月を並べます。最低限はこれだけです。

区分項目の例
前月繰越月初の現金残高
収入現金売上/売掛金の回収/借入金/その他入金
支出(変動費)仕入/外注費
支出(固定費)家賃/人件費/水道光熱費/通信費/リース料
支出(その他)借入返済/税金・社会保険/生活費(事業主貸)
翌月繰越月末の現金残高 = 前月繰越+収入−支出

STEP2:実績を2〜3ヶ月分入れる

通帳とクレジットカードの明細を見ながら、過去2〜3ヶ月の実績を埋めます。ここで「毎月の固定費が実はいくらか」が初めて見える方が多いです。

STEP3:今後6ヶ月の予測を入れる

確定している入金・支払いから先に埋め、売上は保守的に予測します。賞与月の社会保険、年1回の税金・保険料など、忘れた頃に来る大口支出を必ず入れてください。

STEP4:月末残高の推移を見る

翌月繰越の行を右に追っていき、残高が最も薄くなる月を特定します。そこが資金調達・支出削減のデッドラインです。残高がマイナスに近づくなら、3ヶ月以上前から手を打ちます(融資は申込から着金まで1ヶ月以上かかります)。

STEP5:毎月1回、実績で上書きする

月初に前月の実績を入れ、予測とのズレを確認。5分で終わる習慣ですが、これを続けるだけで「気づいたら現金がない」事態はほぼ防げます。

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融資でも「提出資料」として効く

資金繰り表は金融機関への提出資料としても優秀です。「現金の管理ができている事業者」という事実そのものが信用になります。創業融資では、事業計画書(書き方はこちら)とセットで資金繰り予定表を添えると、返済能力の説明が格段にしやすくなります。

運用のコツ3つ

  • 現金商売でも売掛のズレに注意——キャッシュレス決済の入金は数日〜1ヶ月遅れます。決済手数料も忘れずに
  • 生活費も「支出」に入れる——個人事業主は事業と生活が一体。生活費を抜いた資金繰り表は現実と乖離します
  • 残高の下限ラインを決める——「固定費3ヶ月分を下回ったら対策を始める」など、自分なりの警戒ラインを決めておく
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よくある質問

Qエクセルのテンプレートはありますか?+
日本政策金融公庫のサイトで資金繰り表の様式が無料公開されています。まずはそれで十分です。自分の事業に合わせた項目設計まで含めて整えたい場合は、作成サポート(33,000円〜)で対応しています。
Q会計ソフトがあれば資金繰り表は不要ですか?+
会計ソフトの多くは損益(過去)の記録が中心で、将来の現金残高の予測は別物です。ソフトの資金繰りレポート機能を使う場合も、将来予測は自分で入れる必要があります。
Qどのくらい先まで予測すればいいですか?+
最低3ヶ月、できれば6ヶ月先までをおすすめします。融資の申込から着金まで1ヶ月以上かかるため、3ヶ月先が見えていないと、資金が必要と気づいた時には遅い、ということが起こります。
岡本ソバヅメ(SOBAZUME)代表

IT業界15年。2020年に事業を開始し、経営戦略・融資・集客・Web制作・アプリ開発まで一気通貫で伴走する「社長の右腕」コンサルタント。資金調達支援は累計30億円以上、Web集客コンサルの顧問先は累計50社以上。税理士・行政書士・社労士・弁護士と提携し、小規模事業者の経営を支援しています。詳しいプロフィール →

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