「利益は出ているのに、お金がない」——その謎を解くのが資金繰り表です。個人事業主が最低限押さえるべき作り方と、月次での回し方を解説します。
資金繰り表は、現金がいつ・いくら入り、いつ・いくら出ていくかを月ごとに並べた表です。混同されがちな損益計算書(P/L)との違いはタイミングにあります。
| 損益計算書 | 資金繰り表 | |
|---|---|---|
| 見るもの | 儲かったか(売上−費用) | 現金が足りるか |
| 計上タイミング | 取引が発生した月 | 実際にお金が動いた月 |
| 例:9月納品・10月末入金 | 9月の売上 | 10月の入金 |
9月に100万円を売り上げても、入金が10月末なら、9月の家賃や仕入れは手元の現金で払うしかありません。このズレが積み重なると、帳簿上は黒字なのに支払いができない——いわゆる黒字倒産が起きます。
縦に項目、横に月を並べます。最低限はこれだけです。
| 区分 | 項目の例 |
|---|---|
| 前月繰越 | 月初の現金残高 |
| 収入 | 現金売上/売掛金の回収/借入金/その他入金 |
| 支出(変動費) | 仕入/外注費 |
| 支出(固定費) | 家賃/人件費/水道光熱費/通信費/リース料 |
| 支出(その他) | 借入返済/税金・社会保険/生活費(事業主貸) |
| 翌月繰越 | 月末の現金残高 = 前月繰越+収入−支出 |
通帳とクレジットカードの明細を見ながら、過去2〜3ヶ月の実績を埋めます。ここで「毎月の固定費が実はいくらか」が初めて見える方が多いです。
確定している入金・支払いから先に埋め、売上は保守的に予測します。賞与月の社会保険、年1回の税金・保険料など、忘れた頃に来る大口支出を必ず入れてください。
翌月繰越の行を右に追っていき、残高が最も薄くなる月を特定します。そこが資金調達・支出削減のデッドラインです。残高がマイナスに近づくなら、3ヶ月以上前から手を打ちます(融資は申込から着金まで1ヶ月以上かかります)。
月初に前月の実績を入れ、予測とのズレを確認。5分で終わる習慣ですが、これを続けるだけで「気づいたら現金がない」事態はほぼ防げます。
資金繰り表は金融機関への提出資料としても優秀です。「現金の管理ができている事業者」という事実そのものが信用になります。創業融資では、事業計画書(書き方はこちら)とセットで資金繰り予定表を添えると、返済能力の説明が格段にしやすくなります。